省エネ基準入門 - 充填断熱の面積比率法による熱貫流率(U値)の計算例

前回充填断熱時の柱などを考慮した熱貫流率(U値)の計算(面積比率法)についてご説明しました。
▶充填断熱時の柱などを考慮して熱貫流率(U値)を計算する

今回は実際に数値を使用して計算してみたいと思います。
熱抵抗熱貫流率の計算については過去のブログをご参照ください。

計算例では、軸組構法充填断熱で外壁の熱貫流率を計算します。
断熱材はグラスウール16Kで100mm(0.100m)とします。
グラスウール16Kの熱伝導率は0.045で、柱は天然木材なので0.12です。
軸組構法の面積比率は、断熱部が83%、柱部が17%です。

断熱部の熱貫流率

まず、断熱部を計算します
グラスウールの熱抵抗は、
0.100 ÷ 0.045 = 2.222

外壁の外気側表面熱抵抗は0.040、室内側表面熱抵抗は0.110とします。
そうしますと断熱部の熱抵抗計は、
0.040 + 2.222 + 0.110 = 2.372

断熱部の熱貫流率は、
1 ÷ 2.372 = 0.422

柱などの木部の熱貫流率

次に柱を計算します。
柱の熱抵抗は、
0.100 ÷ 0.12 = 0.833

柱部の熱抵抗計は、
0.040 + 0.833 + 0.110 = 0.983

柱部の熱貫流率は、
1 ÷ 0.983 = 1.017

面積比率による熱貫流率の計算

断熱部の熱貫流率が0.422、柱部の熱貫流率が1.017です。
面積比率は断熱部が83%、柱部が17%なので、外壁の熱貫流率は、
(0.422 × 0.83) + (1.017 × 0.17) = 0.52

面積比率法で計算すると外壁を一つの部位として扱うことができます。
そのため、柱などを一本一本考慮する必要がなくなり、計算量を大幅に減らすことができます。

エネボスでは設計仕様(定形・詳細)に断熱材や工法などを登録すると、自動で熱貫流率を計算することができます。
(詳細計算法(柱などを一本一本計算する方法)の対応も可能です)
エネボスを使用すると熱貫流率の計算方法を知らなくても計算はできますが、施主や評価機関に説明するために計算方法を理解しておくことをお勧めします。

 

2023年01月04日|ブログのカテゴリー:省エネ基準入門