今回は熱貫流率(U値)について解説します。
熱貫流率は外皮平均熱貫流率(UA値)を計算するときの基本になります。
外皮平均熱貫流率を計算するときに、最も面倒なのが各部位の熱貫流率の計算です。
熱貫流率は各部位の断熱性能を表します。
両側の温度差を1度としたときに、面積1m2を通過する熱量をWで表わしたものです。
数値が小さいほど断熱性能が高くなります。
単位はW/(m2K)です。
エネボスでは断熱材などの材料を選択し、その厚さを設定すれば熱貫流率は自動で計算されます。
計算式
前回まで熱抵抗(R値)、表面熱抵抗について説明しました。
熱貫流率はこれらを使用して計算します。
熱貫流率を簡略式で表しますと以下になります。
[熱貫流率] = 1 ÷ [熱抵抗計]
熱抵抗計は、外気側・室内側表面熱抵抗に材料の熱抵抗を足して求めます。
熱抵抗計は一つの材料の場合は以下になります。
[熱抵抗計] = [外気側表面熱抵抗] + [材料の熱抵抗] + [室内側表面熱抵抗]
たとえば、断熱材と内装材など二つの材料がある場合は以下になります。
[熱抵抗計] = [外気側表面熱抵抗] +([断熱材熱抵抗] + [内装材熱抵抗]) + [室内側表面熱抵抗]
このように複数の材料がある場合は、外気側・室内側表面熱抵抗に各材料の熱抵抗を足して求めます。
面積比率法による平均熱貫流率
木造住宅の充填断熱では柱などの木材が断熱材を貫通する形になります。
木材は断熱材よりも断熱性能が低いため、これを考慮しなければなりません。
本来であれば柱などを一本一本計算(詳細計算法)しなければなりませんが、これでは計算量が多くなり時間がかかります。
そこで省エネルギー基準(省エネ基準)では面積比率を用いた平均熱貫流率で計算することができます。
これについては後日ご説明します。
開口部(窓・ドア)の熱貫流率
窓・ドアの熱貫流率は基本的には計算で求めません。
サッシ枠とガラスの組み合わせで決まります。
通常はメーカーのカタログやホームページに熱貫流率が掲載されていますので、それを参照します。
なお、二重窓や雨戸などの付属部材がある場合は計算で求めます。
土間床等の外周部の線熱貫流率
土間床等の外周部の熱損失を計算する場合は、上記の熱貫流率を使用するのではなく、線熱貫流率で計算します。
線熱貫流率については後日解説します。