熱貫流率(U値)の詳細計算法、面積比率法

充填断熱時の木造住宅には断熱材を貫通する柱や梁などがあり、一つの部位に断熱材と木材など複数の断面構成が存在します。
そのため、断熱部と熱橋部の各断面の面積を考慮して熱貫流率を求めなければいけません。

一般部位の熱貫流率の計算方法には、詳細計算法面積比率法があります。
詳細計算法は断熱材の部位と柱や梁を分けて計算します。
そのため、詳細計算法では断熱材と柱を一つずつ拾って計算する必要があります。
面積比率法は、工法ごとに決められた木材熱橋の面積比率を用いて平均熱貫流率を計算します。
詳細計算法では細かく部位が分かれるため計算量が増えますが、面積比率法では柱などを細かく分ける必要がなくなるため計算量は少なくなります。


充填断熱時の断熱材と柱を考慮した計算(面積比率法)

たとえば、充填断熱時の外壁で柱が断熱材を貫通する構造になっている場合は、断熱材だけではなく柱も考慮しなければなりません。
このような場合は、まず断熱材の熱貫流率と柱の熱貫流率を計算します。
そして柱の面積比率を確認します。

省エネルギー基準では部位・工法別の面積比率表が用意されていますので、通常はこちらで面積比率を確認します。


断熱材と柱の熱貫流率、面積比率がわかったら、これを面積比率から部位の平均熱貫流率を計算します。


面積比率法の計算例

ここでは木造軸組構法・充填断熱の外壁の熱貫流率の計算を行います。
断熱材はグラスウール断熱材16K、厚さは100mmとします。
充填断熱で熱橋となる柱があるため、断熱部と熱橋部の各断面の面積比率を考慮して計算します。

熱抵抗の計算

断熱材の熱抵抗は、
0.1 ÷ 0.045 = 2.222

柱の熱抵抗は、
0.1 ÷ 0.12 = 0.833

表面熱抵抗

外壁の室内側表面熱抵抗は0.11、外気側表面熱抵抗は0.04。

熱抵抗の合計

断熱部(断熱材部分)の熱抵抗の合計は、
0.11 + 2.222 + 0.04 =2.372

熱橋部(柱部分)の熱抵抗の合計は、
0.11 + 0.833 + 0.04 = 0.983

各部の熱貫流率の計算

断熱部(断熱材部分)の熱貫流率は、
1 ÷ 2.372 =0.422

熱橋部(柱部分)の熱貫流率は、
1 ÷ 0.983 =1.017

部位の熱貫流率の計算

木造軸組構法の柱の面積比率が17%だとします。

0.422 × (1 - 0.17) + 1.017 × 0.17 = 0.52

外壁部位の平均熱貫流率は、0.52 W/m2Kになります。