省エネ基準入門 - 充填断熱時の柱などを考慮して熱貫流率(U値)を計算する

木造住宅充填断熱の住宅の場合、柱や梁などの木材が断熱材を貫通する形になります。
この木材のことを木材熱橋と言います。
木材は断熱材よりも断熱性能が低いため、熱貫流率(U値)を計算する場合は、それを考慮しなければなりません。
本来柱などの熱貫流率は一本ずつ計算し、断熱材と分けて計算(詳細計算法)する必要がありますが、この方法では計算量が多くなってしまい計算に時間がかかります。

そこで、省エネルギー基準(省エネ基準)では、柱などの木材と断熱材の面積比率を用いて計算してもいいことになっています。
この計算方法を面積比率法簡略計算法)と言います。
面積比率法は、木材と断熱材の面積比率から熱貫流率(平均熱貫流率)を計算します。
(ここでの平均熱貫流率は外皮平均熱貫流率(UA値)とは異なりますのでご注意ください)

面積比率法で計算すると、柱などを一本一本分ける必要がなくなり、木材と断熱材を一つの部位として扱うことができ、計算量を大幅に減らすことができます。

省エネ基準では、工法ごとの面積比率が用意されています。
工法ごとの面積比率については「面積比率法の計算」ページをご参照ください。

エネボスでは各部位に「設計仕様」という機能があり、「定形」「詳細」という2種類の方法で登録できます。
登録された設計仕様は熱貫流率などが自動で計算されます。
定形」は断熱材と工法を設定するだけで、簡単に面積比率法の熱貫流率を計算することができます。
詳細」複雑な構造を設計仕様として登録することができ、様々な構造や工法の熱貫流率を計算することができます。

計算式

面積比率法による平均熱貫流率の計算式は以下の通りです。

[平均熱貫流率] = ([断熱材の熱貫流率] × [断熱材の面積比率]) + ([木材の熱貫流率] × [木材の面積比率])

断熱材の熱貫流率、木材の熱貫流率は前回解説した方法でそれぞれ計算します。
それに、各面積比率をかけて足したものが平均熱貫流率です。

次回は実際の数値を使用して平均熱貫流率の計算方法をご説明します。

 

2022年12月18日|ブログのカテゴリー:省エネ基準入門